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実質コストがもっとも安いファンドは

実質コストがもっとも安いファンドは
インデックス投資

「PayPay投信 NASDAQ100インデックス」登場。コストは安いが運用会社が信用ならん。

投資

6月29日よりナスダック100に連動する投資信託が新しく増えます。
その名も「PayPay投信 NASDAQ100インデックス」

私もメインの投資先は「iFreeNEXT NASDAQ100インデックス」なので、少し気になってました。

ですが私はこちらへの乗り換えはしないつもりです。
理由は、 実質コストがもっとも安いファンドは 運用会社が信用できない からです。

PayPay投信 NASDAQ100インデックス特徴

  • NASDAQ100指数(配当込み、円ベース)への連動を目指す
  • 購入手数料無料、運用コスト最安
  • 実質コストがもっとも安いファンドは
  • 信託報酬は0.418%
  • 運用会社はPayPayアセットマネジメント
  • 販売会社は PayPay銀行、SBI証券、松井証券 (順次拡大予定)

他ナスダック投信との比較

●iFreeNEXT NASDAQ100インデックス
設定日:2018年8月31日
信託報酬:0.495%(0.582%)
純資産額:272億8000万円
運用会社:大和アセットマネジメント

●NZAM・ベータNASDAQ100
設定日:2020年3月12日
信託報酬:0.44%(1.671%)
純資産額:16億6900万円
運用会社:農林中金全共連アセットマネジメント

●日興インデックスファンドNASDAQ100(アメリカ株式)
設定日:2020年8月31日
信託報酬:0.484%
純資産額:115億8900万円
運用会社:日興アセットマネジメント

●eMAXIS NASDAQ100インデックス
設定日:2021年1月29日
信託報酬:0.44%
純資産額:103億6600億円
運用会社:三菱UFJ国際投信

●PayPay投信NASDAQ100インデックス
設定日:2021年6月29日
信託報酬:0.418%
純資産額:なし
運用会社:PayPayアセットマネジメント

こうしてみると、やはりPayPay投信NASDAQ100インデックスが コスト面で頭一つ抜け出ています 。

しかし現状、実質コストが判明しているのがiFreeNEXT NASDAQ100インデックスNZAM・ベータNASDAQ100しかないので、本当の意味で保有コストが一番安いのはどれかというと1年待たなければ決めることはできません。

実際、NZAMは目論見上は0.44%とiFreeNEXTより0.05%以上安いですが、実質コストでは逆転されています。

またNZAMのように純資産額が少なかったり実質コストが高くなってしまうと、一般的にはベンチマークからの乖離も大きくなりやすいので、 高い実質コスト+指数からの乖離とダブルパンチ を受けてしまうので注意が必要です。

また今回は国内ETFは除きました。
国内ETFならMAXIS ナスダック100上場投信【2631】など最安0.22%の信託報酬で保有できますが、今は 投資信託をクレジットカード決済で積み立てするのが、カードのポイント還元+投信保有ポイントで最適解 だからです。

最大の問題:運用会社PayPayアセットマネジメントが信用ならん

目論見書を見る限りコストはたしかにナスダック投信最安と言ってもいいかもしれません。
しかし運用会社PayPayアセットマネジメントってのが個人的にすごく怖いです。

調べてみると、PayPayアセットマネジメントが運用を行なっている投資商品で一番額が大きいのはPayPay投信AIプラスという商品で、 運用額は159億8500万円 です。

PayPayアセットマネジメント株式会社 ファンド情報より参照

一番大きいのでたった159億円、、、
個人でみれば莫大な金額ですが、 資産運用会社としてみれば鼻クソほどの額 しかありません。

他のナスダック投信はNZAMを除けば、純資産総額が数千億円の商品をいくつも扱う大和アセットマネジメント三菱UFJ国際投信日興アセットマネジメントという日本を代表する資産運用会社なので、はっきり言って規模が違います。

S&P500インデックスに投資するならどの銘柄?実質コストを考慮したおすすめの選択肢を紹介します。

インデックス投資

宝の地図が示すとおり、 過去200年における米国株式の実質トータルリターンは6.7% でした。
当ブログでは、米国株式市場そのものと言っても過言ではないS&P500インデックスへの投資は、積立投資を行う上で非常に有効な選択肢であることを説明してきました。

S&P500インデックスへの投資方法は、米国のETFをはじめ、国内のETFや投資信託と、多数存在しています。
最近では、eMAXIS SlimのETF版ともいえる「MAXIS 米国株式(S&P500)上場投信:2558」も上場しましたね。

【一般積立でサクソバンク証券を使う場合】
米国ETF(VOOまたはIVV)
※現状は配当金が1株分以上になるよう調整が必要

【一般積立でサクソバンク証券を使わない場合】
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)

銘柄選定の観点

実質コスト

S&P500インデックス銘柄を比較するうえで重要な要素として、最初に挙げられるのは信託報酬ですが、これだけを比較しても正しい結果は得られません。
これは「その他手数料」が存在しているためです。

二重課税と自動再投資

例えば、米国の場合、現地で10%課税され、日本で20%課税されるため、トータルで28%課税されます。
これについて、外国税額控除制度により、いくらか取り戻すことができますが、この金額は所得額により大きく異なることに加え、全額戻ってくるというわけではありません。
(NISA口座は国内非課税につき二重課税とならないため外国税額控除の対象外です)

このため、配当再投資を行うことで最大のメリットを享受できる長期積立投資においては、「現地課税分のみで配当金を再投資できるか」が利益最大化の大きなファクタとなります。

貸株の金利

国内ETFでは、証券会社に株を貸し出す「貸株サービス」を利用できる場合があります。
国内ETFを保有するのであれば、確定申告がどうしても面倒(貸株金利は雑所得のため)という場合を除き、利用すべきでしょう。
これにより、例えば楽天証券であれば、年利0.1%~最大数%を追加で得ることができます。

【貸株の注意点】
株を貸出し中の配当金は「配当金相当額」として振り込まれ、貸株の金利と同様に雑所得として扱われるため、配当控除の対象とならず 「貸株しない場合」よりも手取り額が少なくなることがあります。 これを回避するには、権利確定日に株式が返却される「株主優待・予想有配優先コース(楽天証券の場合)」を選択する必要があります。

楽天VTIのような実質コストの低い投資信託がお勧め

投資

楽天VTIのような実質コストの低い投資信託がお勧め

投資を始めてみたいが、まず何をしたら良いか分からない方。それから、投資信託への投資を検討しているものの、どのような商品を選んだら良いのか基準が分からない方。こういった方向けに、 お勧めしやすい低コストの投資信託について解説していきたいと思います。

楽天VTIやeMAXIS Slim S&P500など米国株インデックス投資を検討されている方の参考になりましたら幸いです。以下、私が考える低コスト投資信託の3つのメリットについてご紹介させていただきます。

楽天VTIは実質コストは低いが、高い分散効果あり

楽天VTや楽天VTIへ投資する場合、購入する際に証券会社に支払う買付け手数料についてはノーロードとなっており、 売買手数料はなんと0円となります。 また、投資信託は100円から投資可能であり、楽天VTIは米国ETFの本家VTIを単純に買い付けるだけ、というパッシブ運用の投資信託です。

しかも、楽天証券で運用すれば令和元年8月現在 投資信託の残高10万円あたり4ポイントのポイント付与や、積み立てNISAや特定口座で50,000円/月まで楽天カードによるカード決済が可能であり、積み立て額の1%が楽天ポイントとして還元される 点も長期投資を検討する場合魅力となります。

楽天VTIなら手間がかからない

給与指定口座など、定期的にお金が入ってくる口座を引き落とし口座に設定しておけば、途中解約による利益確定などを行わない場合、基本的に他にやすることがありません。 逆にする事がないため、物足りなさから、他の投資手法を試してみたり、余計な事をしてしまい、結果的にトータルリターンが下がってしまう事に繋がる恐れもあります。

楽天VTIのみのポートフォリオはシンプル

S&P500の運用成績と比較し、そのリターンを上回ったか、というのが個別株投資家の一つのテーマですが、 そもそもS&P500やVTIに投資していれば、平均点を取り続けることができるため、勝ち負けもない ですし、繰り返しになりますが、アクティブファンドに投資している投資家の運用成績にも、ほぼ勝てるようになるため、投資に時間をかけたくない方には、非常にお勧めできる投資手法となります。

ただ、景気後退局面では値下がりしますので、 あくまでも10年以上の長期で資産運用できる方が投資対象 となるります。

今回お話した、楽天VTIのようなインデックスファンドへの積み立て投資は、長期投資を前提としているため、短期間で成果を生むものではありません。これから本格的に投資を始めようという方の場合、まずは いつ・どのくらいの金額が必要で・どの位の運用期間を設定できるかを決めると長続きしやすい と思います。あくまでも自分が信じられる投資先に、余剰資金で投資を続けていきましょう。

ニッセイ外国株式インデックスファンドは投信ブロガーに最も評価の高いインデックスファンド

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インデックスファンド

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2016/11/22より信託報酬の引き下げが行われて、先進国株式インデックスファンドとしては 最もコストが安いファンド となりました。

【追記】
2019年6月27日をもって、信託報酬 年0.189% から 年0.0999% に引き下げが行われております。
2020年2月21日より 年0.0930% に、再度の信託報酬引き下げが実施されました。

ニッセイ外国株式インデックスファンドの詳細

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投資対象 先進国株式
ベンチマーク MSCIコクサイ・インデックス(配当込み)
購入手数料 無料
つみたてNISA 〇:対象ファンド
最低積立額 100円から
信託報酬 年0.実質コストがもっとも安いファンドは 0930%(税別)
純資産総額 約1,381億円
決算日 年1回(11/20)
信託財産留保額 なし
償還日 無期限
為替ヘッジ なし
投資形態 ファミリーファンド方式
資産配分 株式など:99.9%
現金、その他:0.実質コストがもっとも安いファンドは 1%
運用会社 ニッセイ・アセットマネジメント株式会社

ニッセイ外国株式インデックスファンドの特徴

ニッセイ外国株式インデックスファンドは、 MSCIコクサイ・インデックス(配当込み) をベンチマークとしているインデックスファンドです。
2020年2月21日付で信託報酬改定が実施され、 年0.0930% に変更されています。

日本を除く先進国22カ国の株式に、 1%を切る 非常に低いコストで国際分散投資できる時代になりました。
今後も信託報酬のさらなる価格競争となるのか注目です。

投資家から高い評価

開催年 順位
2018年 2位
2017年 2位
2016年 1位
2015年 1位
2014年 1位

「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2016」 で1位を獲得し、 3年連続の首位 となりました。
また「 投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2018」 でも2位を獲得し、5年連続でトップ3に選出されています。
投信ブロガーの方に、長い間高い支持を受け続けていることがわかりますね。

組入地域・業種

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銘柄 業種 比率
アップル 情報技術 2.3%
マイクロソフト 情報技術 1.6%
アマゾン・ドット・コム 一般消費財・サービス 1.2%
フェイスブック 情報技術 1.2%
ジョンソン・エンド・ジョンソン ヘルスケア 1.0%
エクソンモービル エネルギー 1.0%
JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー 金融 1.0%
アルファベット(C) 情報技術 0.9%
アルファベット(A) エネルギー 0.8%
ネスレ 生活必需品 0.8%

利回り・運用成績は

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期間 ファンド ベンチマーク
1か月 +3.2% +3.2%
3か月 +0.実質コストがもっとも安いファンドは 7% +0.7%
6か月 +2.1% +2.0%
1年 -3.1% -3.2%
3年 +44.6% +44.7%
設定来 +58.9% +59.9%

実質コストがもっとも安いファンドは 実質コストがもっとも安いファンドは
年次 ファンド
2018年 -11.09%
2017年 18.6%
2016年 2.7%
2015年 -1.6%
2014年 22.6%

純資産の推移

純資産
2017年12月 約760億円
2017年6月 約530億円
2016年12月 約390億円
2016年6月 約250億円

実質コストは

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決算年度
(対象期間)
実質コスト
2018年
(2017/11/21~2018/11/20)
0.269%
2017年
(2016/11/21~2017/11/20)
0.29%
2016年
(2015/11/21~2016/11/20)
0.29%

2018年11月で提出された運用報告書にて判明した実質コストは、 年0.269% でした。
昨年までのコストと比較すると、やや改善されていることがわかります。

投資初心者の方はそこまで気にする必要はないかと思われますが、長期運用の場合わずかな保有コスト差でも大きくリターンが削られてしまいます。
より効率よく運用を行っていくには、 少しでも低い実質コストのファンドに乗り換えていく 方が良い結果を生み出すことでしょう。

分配金はなし

競合ファンドとの比較

今年に入り、eMAXIS Slim 先進国株式インデックスという信託報酬が最安で並ぶ、ライバルファンドが出現しました。
しかも、eMAXIS Slim 先進国株式インデックスの方は、純資産増加に伴う、信託報酬引き下げがされていきますので、 実質的な最安ファンド と言えます。

ニッセイ外国株式インデックスファンドの方も、過去に何度も引き下げを行っていることから、生き残りをかけた 熾烈な低コスト競争 がはじまりそうですね。
両者の今後のパフォーマンスと、実質コストにも注目です。

iDeCo(イデコ)取り扱いは?

取り扱い金融機関 競合ファンド
SBI証券
(セレクトプラン)
eMAXIS Slim 先進国株式インデックス
SBI・全世界株式インデックス・ファンド
eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)

個人投資家の評判は?

ニッセイ外国株式インデックスファンドの評価

設定来から人気が根強く、純資産残高が順調に大きく積み上がっています。
今後信託報酬が低いファンドが登場したとしても、また 引き下げの期待 ができますので保有者は簡単には解約しないと思われます。

先進国株式インデックスファンドとしては、今も尚おすすめできるファンドとなりますので、世界の 先進国に分散投資 したい方は迷わずポートフォリオの一つに組み入れるのを検討しましょう。

SPECIAL REPORT スペシャルレポート

水田 孝信

● 経歴
・2002年東京大学大学院理学系研究科修士課程修了。
・2004年同研究科博士課程を中退しスパークス・アセット・マネジメント株式会社入社。
クオンツアナリストなどを経て2010年よりファンドマネージャー。
・2017年度より上席研究員兼務。
・2014年東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。博士(工学)。
同年より東京大学公共政策大学院非常勤講師。
・2016年度より人工知能学会金融情報学研究会幹事。2019年度より主幹事。

● 実質コストがもっとも安いファンドは 受賞歴
・2010年度および2012年度、人工知能学会研究会優秀賞。
・国際学術会議 IEEE Conference Computational
Intelligence for Financial Engineering and Economics 2014
にて3rd place award受賞。
・2020年度、人工知能学会全国大会優秀賞。

Angのアクティブファンド批判

2014年に出版されたAndrew Angの書籍”Asset Management: 実質コストがもっとも安いファンドは A Systematic Approach to Factor Investing” *1(邦訳版「資産運用の本質:ファクター投資への体系的アプローチ」*2は2016年出版)では、720ページある紙面を使ってアクティブファンド(以下、アクティブ)を批判し、そのリターンの多くは手数料の安いパッシブファンド(以下、パッシブ)やスマートベーター(配当利回りやボラティリティなど時価総額以外の指標で銘柄の組み入れ比率を決定した指数)で置き換えられると主張しました。
しかしこの本の中でも、CremersとPetajistoが2009年の研究*3が示した、ベンチマークにあまり組み入れられてない小型株を保有したり大きな比率で集中的に保有したりしている、ベンチマークから乖離したアクティブ(ハイリーアクティブ)のみを取り出せばアクティブのリターンの平均はパッシブより高かったことに関しては、否定しきれていません。この研究はアクティブが保有する銘柄の保有比率がベンチマークからどれだけ乖離しているかを示すアクティブシェア*4を提案しました。アクティブシェアは0%から100%までの値をとり、0%ならベンチマークと完全に一致、100%なら完全に異なるというものです。アクティブをアクティブシェアの高低で5つのグループに分けて分析した結果、もっともアクティブシェアが高いグループの平均リターンは手数料を控除してもベンチマークを上回ったことを示しました。
さらにCremersとPareekの2016年の研究*5は、事前に計測可能なアクティブシェアとファンドデュレーション(各銘柄の平均保有期間)により、スマートベーターでは得られないリターンを平均的には得ているアクティブのグループを事前に選ぶことができることを示し*6、Angの主張は全面的には正しくないことを示しました。
実際、Angが助言を行ったノルウェー国民年金基金グローバルも、助言どおり隠れパッシブ(アクティブシェアが低いファンド)の縮小を行ったものの、アクティブシェアが高いハイリーアクティブへの投資は継続していますし、Angが否定した小型株への投資はより積極化しています*7。
とはいえ、Angが主張したように、隠れパッシブが少なくないことは間違いありません。Angのアクティブに対する徹底的な批判は、裏を返せば「どのようなアクティブが良いのか?」という質問に答えるものとなっているでしょう。そしてAngが最も強力なアクティブ批判として紹介したのが、BerkとGreenが2004年に提唱*8した「良いアクティブは平凡なリターンしか生み出せなくなるまで資金が集まる」という仮説(以下Berkの仮説)です。

Berkの仮説

Berkの仮説を、図1を使って説明します。まず、1番リターンが高かったアクティブに資金が流入します。すると、ファンドの規模が大きくなることによってリターンが低下します。そのうち2番目にリターンが高かったアクティブよりも低いリターンしか出せなくなります。そうすると今度は2番目にリターンが高かったアクティブに資金が集まります。すると同様に、このアクティブのリターンも低下します。そうすると今度は3番目にリターンが高かったアクティブに資金が集まります。これを繰り返すと、すべてのベンチマークを上回るリターンを生み出してきたアクティブのリターンが低下し、結局、ベンチマークと同じリターンしか出せなくなるというのです。
さて、[このBerkの仮説は以下にあげる(1)から(3)の仮定の上でしか成り立ちません。それは、
(1)過去のリターンが高いアクティブに資金流入がある
(2)ファンドの規模が大きくなるとリターンが低下する
(3)運用者はリターンが低下する前に新規資金の募集を停止することはない
の3つです。これまで優れていないアクティブが多く存在する理由としてあげられてきた、
* 将来株価が上昇する銘柄を持続的に選べる運用者がいない
* 実質コストがもっとも安いファンドは 多くの運用者は誠実に働かずモラルハザードが発生している
* ファンドの購入者はスキルをもった運用者を見つけられない
などに比べれば、(1)から(3)の仮定は成立しやすいのではないかと考えられました。そのため、隠れパッシブのような多数の優れていないアクティブが存在する理由は、Berkの仮説がもっとも有望と考えられました。そして、多くの実証分析がBerkの仮説を検証し、多くの部分で成立していることを示しました。

流動性の制約がリターン低下の原因

Berkの仮説を日本の投資信託において本格的に検証した恐らく最初の研究が2017年の日本ファイナンス学会において西内ら*9によって発表されました。西内らの研究はこれまで米国で行われた研究もよく整理しており、これにしたがってBerkの仮説がどのように検証されてきたか見てみましょう。
まず、多くの実証研究が「(1)過去のリターンが高いアクティブに資金流入がある」を示しました。これはゆるぎない事実でしょう。
そして、やはり多くの実証研究が「(2)ファンドの規模が大きくなるとリターンが低下する」を示しましたが、
・ある程度の規模まではリターンの低下が小さく、一定以上に規模が大きくなるとリターンの低下度合いが大きくなる
・小型株に投資するファンドの方がリターンの低下が顕著である
などの特徴も分かりました、これらのことから、“実質コストがもっとも安いファンドは 流動性”の制約がリターンの低下をもたらしていると考えられています。
流動性とは、行おうとしている売買がどれくらい容易にできるかを示したものです。その売買が完了するまでに必要な日数が短く、マーケットインパクトコスト*10が少なければ流動性が高いと言い、日数が長くマーケットインパクトコストが大きければ流動性が低いと言います。ファンドの規模が大きくなると各銘柄の保有金額は大きくなり、必要な売買金額は大きくなります。必然的に流動性は低下し、銘柄入れ替えに長い期間が必要となり、マーケットインパクトコストが上昇してファンドのリターンは低下すると考えられるのです。
ただし、マーケットインパクトコストは売買量があまり大きくない範囲内では売買量にあまり依存しません。例えば、1分で購入が完了する場合と10分かかる場合とで、1分と10分で与える株価へのインパクトはそんなに大きく変わるわけではありません。一方、購入が1日以内で終わる場合と10日に及んでかかる場合では、後者は継続的に買い圧力を与えてしまうため株価へのインパクトはだいぶ大きくなってしまいます。
つまり、流動性の制約がリターンの低下をもたらしているということは、逆に言えば、流動性の制約が発生するまでの規模拡大は、リターンの低下をもたらさないということです。流動性の制約が発生するファンドの規模を把握しておき、それ以上の規模にならないようにしておくことが重要です。ファンドの規模は小さければ小さいほど良いわけではないのです。そして重要なことは、そのファンドの投資対象や売買の頻度などの投資手法によって、どれくらいの規模までリターンの低下が発生しないかが違うということです。投資対象の流動性が低ければ、小さい規模でもリターンの低下が起こりますし、流動性が高ければ大きい規模でもリターンは低下しません。また、売買が少なければより大きい規模でも大丈夫となります。
さらに流動性は時代によって大きく異なります。特に近年は、取引所のシステムの高速化や高頻度取引の普及などで流動性が向上しています。これについては後ほど述べます。

規模が大きくなり隠れパッシブ化

西内らの研究は、これまでBerkの仮説が米国以外では当てはまらないのでないかという仮説を退け、日本でも一部成立していることを示しました。さらに重要なことに、ファンドの規模が縮小するときのリターンの向上が、規模拡大時のリターン低下に比べて小さいことを示しました。
このことから考えられることを、図2を用いて説明します。流動性の制約を越えていない資金流入(経路A)があったとしても、当初予定通り流動性の低い小型株の保有や高い比率で集中投資が可能なので、アクティブシェアは維持され高いリターンが維持されます。しかしながら、流動性の制約を越えた資金流入を受け入れてしまうと(経路B)、当初予定していた銘柄への投資ができなかったり低い比率でしか保有できなくなったりして、アクティブシェアが低下し、それにより、リターンが低下してしまいます。このとき、資金流出を防ぐためにリスクをとらない守りの運用をとってしまう場合が多いようです。そのため、さらにアクティブシェアが低下し、隠れパッシブ化してしまうのです。
実はPetajistoの2013年の論文*11に、このような経緯をたどった非常に有名な米国株ファンド(以下、ファンドA)の事例(図3)が示されています。ファンドAは80年代前半、高いアクティブシェアを維持していました。運用者Bは当時カリスマファンドマネージャーとよばれるほど有名で、驚異的なリターンを出していました。そのため、資金流入が続き、ついに1000億ドルにまでなってしまいます。その過程でアクティブシェアは低下していき、90年代後半に募集を停止しました。流動性の制約をはるかに越えた後に募集を停止したため、停止後の運用を主に担当した運用者Eの時代は、アクティブシェアが非常に低い隠れパッシブとなっていました。

流動性制約に到達する前に資金募集を停止すべき

実際に資金募集を停止できるか?

Berkの仮説が成り立つには強い仮定「(3)運用者はリターンが低下する前に新規資金の募集を停止することはない」、つまり図2の経路Cが存在しないことが必要です。
この経路CがあるかどうかをBrisらは2007年に調べました*12。この研究は、実際に資金募集を停止した米国の投資信託を調べ、停止後のファンドのリターンを分析しました。募集停止の140のケースを、募集停止時のファンドの規模別に28のケースごとに5つのグループに分けて分析した結果、もっとも小さい規模で募集停止したグループのみ、募集停止後1年間の平均のリターンがベンチマークを9.10%上回っていました。その他のグループの募集停止後1年間の平均リターンはすべてベンチマークを下回っており、もっとも規模が大きいグループでは、5.45%も下回っていました。
つまり、経路Cをたどったファンドは少ないが、存在するのも事実ということが分かりました。もちろん、流動性の制約に到達する規模はどのような投資を行っているかに依存するだけでなく、その時期にも依存しますので、このような募集停止時の規模だけで分類するのは少々乱暴な議論かもしれません。しかし少なくとも、多くのファンドの募集停止が遅すぎたのは否定できない事実でしょう。そして、適切な規模で募集停止をした数少ないファンドのリターンは、引き続き優れていることが多いことも示されたと考えられます。

流動性制約がかかる規模は?

流動性が向上するとより大きい規模で投資ができる

これまで見てきたように、流動性が向上すると、より大きい規模のファンドがアクティブ投資を継続可能となります。流動性が向上することはアクティブ投資にとって、とても重要なことなのです。
東京証券取引所においては、2010年に高速化したarrowheadという取引システムを導入したり、2014年には呼び値の刻みを縮小したりして、高頻度取引(HFT = High Frequency Trading)が増加しました。保坂の研究*13は、このようなHFTが流動性を向上させていることを示しました。そのため、日本株式市場においては、2010年以降、流動性が向上し、アクティブファンドの流動性制約を受けずに投資できる規模も大きくなったと考えられます。
このように取引所の制度や市場に課せられる規制の変更が流動性を向上させたり、逆に減少させたりします。そのため、アクティブ投資にとっても、これらの変更は重要ですし、アクティブ投資をしている人たちこそ、このような規制・制度の変更の議論に対して意見をもっと言うべきであると考えています。
最近では、人工市場シミュレーションという新しい手法で規制・制度の変更が流動性に与える影響を分析する研究(例えば、水田の2014年の論文*14など)がでてきており、東京証券取引所が発行するJPXワーキングペーパー*15においても人工市場シミュレーションを用いた研究が多く掲載されています。

ファンド購入者は、運用会社は、どうすればよいのか?

Angが最も強力なアクティブ批判として紹介したBerkの仮説、「良いアクティブは平凡なリターンしか生み出せなくなるまで資金が集まる」は、部分的には成立していることを述べてきました。すなわち、隠れパッシブにならないように資金が集まりすぎる前に募集を停止する運用会社も少なからずあるものの、少なくとも米国においては、多くの運用会社でそれができないことが分かりました。
それでは、実際にアクティブファンドを購入している人はどうすればよいのでしょうか?保有しているアクティブファンドの規模が大きくなってきて、かつリターンがふるわなくなってきたとき、ファンドの保有銘柄が他のパッシブファンドに似てきたら隠れパッシブ化した可能性があります。その場合は、保有するファンドを変えるべきでしょう。
一方で、隠れパッシブ化していない場合はむしろ、一時的なリターン低下で手放すべきではありません。Cremersの2016年の研究*5は、ファンドの運用者だけでなく、ファンドの保有者こそ忍耐強さが必要であると述べています。きちんとした調査が行われた銘柄にリスクをとって投資している場合の、需給などによる一時的なリターン悪化は、投資で利益を得るためには耐えなければならない試練なのです。なので、アクティブ投資における一時的な耐えるべきときなのか、規模が大きくなりすぎたことによる隠れパッシブ化なのか、きちんと見極める必要があるのです。そのためには、アクティブシェアが高く維持されているかどうか、つまり、ベンチマークから乖離したポートフォリオを維持できているかどうかを確認するのがひとつの方法でしょう。
一方、運用会社はどうすればよいでしょうか?先に述べたように、流動性の制約に到達する規模はどのような投資を行っているかに依存するだけでなく、その時期にも依存しますので、このような募集停止時の規模を見積もるのは非常に難しい作業となります。実際に運用を担当しているファンドマネージャーや、その注文指示を裁いているトレーダーが常日頃感じている売買の感触を積み上げていくしかないのではと考えられます。それ以外の人たちが客観的に見積もる手法は今のところないと考えた方が良いでしょう。なので、現場で担当している人たちの「この規模を超えると難しい」という感覚を大事にし、その規模で募集を停止することが大事です。
特にトレーダーの意見は重要と考えます。トレーダーは自分たちの売買がどれくらい価格にインパクトを与えているか、リアルタイムで見ている場合もあります。マーケットインパクトコストを考える上で、これ以上の情報はありません。しかしながら、運用会社内でのトレーダーの地位は低い場合もあり、ファンドの資金募集をどこまで行うかを決定する企画部門や営業部門、経営層に声を届ける機会が少ない場合もあると思います。このような重要な決定に、トレーダーの声を反映させることが最も重要かもしれません。
アクティブファンドは、運用者がどんなに優れた銘柄選択の能力を持っていたとしても、流動性の制約を越えた規模になってしまうと、その能力は生かすことができずリターンは低下します。せっかくの銘柄選択の能力を生かし続けるために、運用会社は適切な規模での募集停止という決断をしなければならないのです。

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